レポート

福武ハウス アジア・アート・プラットフォーム2015

小豆島の1つの集落を通してアジア諸地域がつながるプロジェクトとして「福武ハウス」、「福田アジア食堂」と「福田 家プロジェクト」がスタート。これら3つのプロジェクトを通して、人がそれぞれの場で生きる尊さを感じながら、人と土地、人と人をつなぐ美術が古くから持っていた働きを、土地と時間に鍛えられた集落という単位で実現し、アジアの海を媒介に大きくつながり、都市への偏重といった近代化によって失われつつあるものは何かを考える。

福武ハウス(旧校舎)

福武ハウスアジア現代美術展

「High Water」 ジャワ島の4人のアーティスト

インドネシア、ジャワ島で活動する4人の若手アーティストはそれぞれが生活する場の視点からインドネシアの歴史や今の社会情勢に触れながら作品を制作、発表して来ました。「High Water」は4人の活動の近年の充実を「満潮」に例えると同時に、この熱帯地域で頻繁に起こる「洪水(高水位)」警報をも意味します。
有史以来、ジャワ島はインドネシアの中心として様々な変化の中で、政治、経済、文化を担ってきました。戦後独立運動を経て、近年では1998年の新体制政権など大きな社会変革のなか、人々はジャワ島内でどのように生きてきたのでしょうか。

本展では美的関心と同時に社会に発するメッセージを4人のアーティストの表現を通して見ていただくことで、グローバル社会におけるインドネシアとジャワ島の歴史と現状が持つ意味を考えます。

展示企画|Mella Jaarsma メラ・ジャールスマ / チェメティアートハウス

展覧会概要
会期:2013年7月18日(土)~11月3日(日)土日祝のみ開館 合計42日間
協力:チェメティアートハウス
鑑賞料金:¥500(15歳以下無料)

Rehearsing Voice

アーティスト|ジョンペット・クスヴィダナント /インドネシア
作品タイトル|Rehearsing Voice

1976年生まれ。常に変化する世界における個人と集団のアイデンテティの変化に言及する作品を制作。コスチュームをまとった人型によるインスタレーションが、音と動きを伴ってジャワ文化の歴史と現在をものがたり、外部からの視線が伝統文化に与える影響についての考察を提示する。

Privet number

アーティスト|レオナルディアンシャ・アレンダ /インドネシア
作品タイトル|Privet number

1984年生まれ。近作では「価値」についての作品を展開。本展で展示する多数の天秤ばかりを使ったインスタレーションでは、物が持つ物質としての価値(ロジック)と物に対する感情(フィーリング)の価値はどのように図られうるのかを問う。

Rice

アーティスト|エリア・ヌルビスタ /インドネシア
作品タイトル|Rice

1983年生まれ。近年、オランダ植民地時代に農園主の食卓で生まれた料理「ライスターフェル(ご飯のテーブルの意)」についての作品制作を続けてきた。今回展開するのはアジアの主食「米」についての作品。日本での減反とは反対に、国民の消費需要に供給が追いつかなくなっているインドネシアの稲作の現況を、その歴史も踏まえて作品化する。

ユダ・サンディ

アーティスト|ユダ・サンディ /インドネシア

1982年生まれ。イラストレーター、漫画家としても活動する作家が本展で見せるのは幼少時代にインドネシアで流行したTVアニメが現在の文化に与えた影響。社会の変化と発展の中で日常に氾濫したTVカルチャーはスハルト政権時代にはプロパガンダとしても利用されてきた。TVカルチャーについての物語を大量のドローイングとコラージュで校舎内に展示する。

パートナー組織活動紹介展示

パートナー組織活動紹介展示

パートナー組織|チェメティアートハウス/インドネシア

ニンディトヨ・アディプルノモとメラ・ジャールスマによって創設されたチェメティアートハウスは、アートの実践、講演、マネジメントの推進を活動の軸にしている。1988年以来インドネシア国内外の現代アーティストの作品を展示・紹介。主催するプロジェクトやレジデンシー・プログラムは、アートのプロセスと社会的な革新的経験に重点を置き、「アートと社会」の改革を課題に掲げ展開している。

福田地域文化紹介展示

福田地域文化紹介展示

歴史、地理、生活、産業など「福田村誌『葺田の里』」(平成16年刊)を元にしながら福田地域に積み重なっている資源を写真展示などで紹介する

福田まち歩きツアー

福田まち歩きツアー
福田まち歩きツアー

地元住民と共に集落内散策ツアーを企画実施することで、福田の地域資源への理解を深め、ゲストが福武ハウスの展示と共に体験することにより、コンセプトの深い理解を促す。


福田家プロジェクト

福田「家プロジェクト」とは、旧校舎の活動拠点から集落へと一歩足を広げ、地域への理解を深めていく試みです。

きょく
きょく

現在作品となっている旧福田郵便局は、人々の記憶の風景が詰まった建物です。かつて、福田地区が外から情報を取り入れた場所であり、小豆島と外の世界とをつなぐ窓口でもありました。近年はひっそりとしていたこの旧郵便局と福田地区において、記憶を再現しながら人と地域の間の気持ちをつないでいきたいという思いから構想されました。

地元住民と協働するワークショップ

カメラワークショップ

きょくの作品コンセプトを通して、台湾と日本の文化交流を目的としたワークショップを開催。地元住民の参加を中心に

ダンスワークショップ|8月8日

台湾の伝統的な踊りについて、台湾の研究家がその歴史や所作の意味について図解を用いて解説。その後、実際に踊るレクチャーを実施。

カメラワークショップ|8月13日

台湾芸術大学の大学院生による、写真ワークショップを開催。「思いで」というテーマをもとに写真を撮影、ファインダー越しに切り取った風景について解説し参加者と共有。台湾、福田にある言い伝えなど新しい物語の発見があった。


福田アジア食堂

アジア各地域と地元住民、そして来訪者を、食を通じてつなぐ場として食堂をオープン。地元福田地区のスタッフがアジアのレシピを研究。来島したアーティストなどと試食を重ねてメニュー化した「ナシゴレン・ミーゴレン」が登場。

福田アジア食堂
福田アジア食堂
福田アジア食堂


葺田パヴィリオン

葺田パヴィリオン

設計主旨|西沢立衛

小豆島・福田小学校体育館隣の神社境内に計画されたパヴィリオンである。構成としては、カーブした二枚の鋼板が重なり合って、端部が互いに溶接されることで、お互いにお互いを拘束し合って形が成り立つ、というものだ。床の鋼板は屋根鋼板の存在によって開いてゆくのが抑えられ、屋根鋼板の方は床鋼板によって支えられつつ、真ん中でたわむ。二枚の鋼板の間に生まれた空間が客席でもあり、境内へと繋がる子どもの遊び場でもある。恒久建築だが、基礎はなく、そのまま持って来て置いただけというような、簡素な配置となっている。


イベント

アートや文化を通じてアジア、台湾、福田地区への理解を深めることを目的にイベントを開催。
主催|福武ハウス
助成|Art Setouchi
公益財団法人地域社会振興財団 長寿社会づくりソフト事業費交付金

福田アジアンバザール

福田アジアンバザール
福田アジアンバザール
福田アジアンバザール

島内外からアジア飲食店による屋台村、農産品販売、フリーマーケットなどが集まる賑やかなバザールが福田に出現。アジアをキーワードにワークショップやパフォーマンスなど様々なプログラムを実施。

日時|9月20日(日)11:00~16:00
場所|福武ハウス 周辺
来場者約|1200人

アジア・アート・フォーラム2015

アジア・アート・フォーラム2015
アジア・アート・フォーラム2015
アジア・アート・フォーラム2015

国と国との枠組みを超えた、アート、食、対話による<地域から地域へ>とつながる交流を推進するために、アジア・アートのキーパーソンを小豆島・福田に招聘し、深いディスカッションを行っていく場として企画した。 2015年は具体的な議論を求めて、近年、横浜を拠点にアジア地域を中心とした国際交流事業を行う、黄金町エリアマネジメントセンターの活動事例報告から、一つの地域がアジア地域とアートという切り口で関わることによってどういう価値を見だせるのかについて考えた。

タイトル|アートがつなぐアジアとの交流 ~黄金町エリアマネジメントセンターの事例を参考に~

パネリスト|山野真悟(NPO法人黄金町エリアマネジメントセンター 事務局長)
北川フラム(福武ハウス ディレクター)
進行:大内航(公益財団法人福武財団)
日時|10月24日(土)11:00-12:30
場所|福武ハウス
教室来場者約|約30人

福武ハウスの感謝祭

福武ハウスの感謝祭
福武ハウスの感謝祭
福武ハウスの感謝祭

福武ハウスの今会期のフィナーレ。祝祭ムードを彩るアジアの伝統的芸能を演舞など地元住民と共に今期の最後を祝い、来年の期待へとつなげる。アジアでも、福田でも、地元の人々に親しまれている豊かな民俗・伝統芸能を体感しながら、祝祭ムードを盛り上げた。

出演
・ジャワガムラン 演舞 / ランバンサリ

東京を拠点としたジャワガムランの演奏楽団。1973年に東京芸大の民族音楽学の実習として授業が始まり、ガムランの魅力に感じた有志が学内でクラブをつくり、「ランバンサリ」と名づけた。1985年に芸大から離れ、2015年でちょうど結成30年。ガムランの演奏、踊り、影絵芝居など多様なプログラムを持つ。

日時|11月3日(火・祝)14:30~17:00
場所|福武ハウス 体育館
来場者約|約180人


事業概要

名称 福武ハウス-アジア・アート・プラットフォーム2015
開催期間 2015年7月18日~11月3日  土日祝のみ開館  合計42日間
時間 11:00~17:00
会場 香川県小豆郡小豆島町福田甲718-1
旧小豆島町立福田小学校 校舎、体育館、葺田八幡神社境内(一部)
テーマ 私たちはグローバル化にどのように立ち向かうのか
主催 公益財団法人 福武財団 / 小豆島町 / 福田地区自治連合会
ディレクター 北川フラム(瀬戸内国際芸術祭総合ディレクター)
運営 福田地区自治連合会
葺田パヴィリオン設計 西沢立衛